理学療法士の山神です 😛
タイトルにもつけましたが『フレイル』という言葉は知ってますか?
以前テレビでやっているのを見たことがありますが
まだ一般的な言葉とは言えないと思います。
どういう意味かと言うと日本語で言うところの「老衰」です。
「フレイル」の元の言葉は世界老年医学会で使われていた“frailty”という英語で
日本語訳は「虚弱」とか「老衰」とか「脆弱」とかになります。
つまり、加齢によって身体が弱ってきて
今後日常生活に支障が出ることが予測される状態のことです。
ただ、これをそのまま日本語で「老衰」と言ってしまうと
「もう年だから衰えていくのはどうしようもない」
と手の打ちようのないような印象になってしまいます。
しかし、加齢による身体機能の低下はある程度は予防できますし
筋力でも何歳になっても向上するという研究結果がでてきています。
そこで、ちゃんと対応したら改善しますよということを協調するために
”frailty”をカタカナ表記にした「フレイル」という言葉を使いましょうと
日本老年医学会が2014年に提案したそうです。
加齢に伴う心身機能の低下は改善の可能性があるということを
はっきりさせた意味は大きいと思います。
「もう年やけん」
っていう患者さんはすごく多いですし
自分の状態を言われるにしても
「あなたは老衰です」
って言われたらもう先が見えてるみたいに受け取るかもしれませんが
「あなたはフレイルです」
って言われたらよく意味がわからない分
それが何なのか、どうしたらいいのか続きをちゃんと聞くかもしれませんね。
(そうでもないですか?)
「老人」って言われるより「シルバー」の方が響きが(まだ)いいみたいな。
そんなわけで、じゃあ具体的に「フレイル」はどのような状態を言うのかというと
大きく分けて
①身体的 ②認知的 ③社会的
の各方面から評価されるのが望ましいようですが
現時点では全ての面を総合した評価法が確立されているわけではないようです。
その中でも身体的フレイルについては
基本的概念について大体共通した理解が得られているようなので、
ここでは身体的フレイルについてのみ触れたいと思います。
身体的フレイルの基準として代表的なものとしては
①体重減少:6ヶ月間で2~3kg以上の体重減少
②筋力低下:握力 男性<26kg 女性<18kg
③疲労:(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする
④歩行速度の低下:通常歩行速度<1.0m/s
⑤身体活動の低下:「軽い運動・体操」および「定期的な運動・スポーツ」のいずれもしていない
この5項目のうち3項目以上該当する場合に「身体的フレイル」
1~2項目該当する場合に「身体的プレフレイル」と判定するものがあります。
それぞれ具体的な数値としてはどう感じるでしょうか?
分かりにくいですかね。
男性の握力26kgは12~13歳の平均値くらい
女性の握力18kgは10~11歳の平均値くらいのようです。
歩行速度1.0m/sというのは横断歩道を青のうちに渡りきれるくらいの目安です。
そういうとまあまあ体力の低下した人というイメージですね。
普段私が接している患者さんの中にも
3項目以上該当しそうな方は少しいる気がします。
実際これに該当した方々がその後本当に要介護になるのかということですが、
国立長寿医療研究センターの牧迫先生が
地域在住高齢者4341名を対象に行った調査では、
健常高齢者(フレイルと判定されない高齢者)と比べて
2年間に要支援・要介護と判定された例は
「プレフレイル高齢者」で2.5倍、
「フレイル高齢者」で4.7倍にもなったようです。
けっこうな割合ですね。
まあ、これらの項目が重なっていたら
その時点で要支援や要介護の判定が出ていてもおかしくない気もします。
では、どうしたら要介護・要支援にならないでいられるかということですが、
長くなってきたのでこれについてはまた次回にしたいと思います。
最後まで読んでくださりありがとうございました!!