痛みについて⑤ ~心と身体の両面から対処する~

理学療法士の山神です 😛

 

1年近く間が空いてしまいましたがもう過去は振り返らず(?)

痛みへの対処法について書きたいと思います。

 

前回のブログ(痛みについて④~慢性の痛みは色々あって治りにくい~

では痛みに伴う様々な心理的な問題が

痛みを複雑にしていくということを書きました。

じゃあどうすればいいのかということが今回の内容になります。

 

痛みが続くのに伴って生じる「破局化思考(カタストロファイジング)」(←前回ブログ参照)が

痛みを余計に長引かせたり強くしたりすることが問題の一つですが、

そこからさらに問題になるのが悪循環が始まることです。

 

痛みを感じ始めるところから順を追ってみていきましょう。

 

・ 転ぶ、捻るなどの外傷

・ 悪い姿勢を長時間持続

・ 重いものを持ち上げるなど身体のある部分に過剰な負荷がかかる動作・・・

などによって身体のある部分に損傷が起こり痛みが生じます。

 

ここまでは誰でも同じです。

 

そこから回復に向かうのか悪循環にはまるのか道が分かれます

①回復への道

痛み ⇒ 痛みについて適切な認識=不安なし ⇒ 痛みと対峙(治療・リハビリテーション) 

   ⇒ 回復へ

 

今自分が感じている痛みが何が原因で

どのように治療していけばよいのかを理解できていると大きな不安を感じることもありません。

そして痛みと向き合って適切な治療が行えれば痛みは回復に向かっていきます

(もちろん適切な治療が行われるということは回復に向かう大前提です)

 

②悪循環への道

痛み ⇒ 痛みについての破局化思考+不要な病気の情報など ⇒ 痛みに関する不安が募る

⇒ 過剰な行動回避(痛みが怖くて必要以上に安静にするなど) 

⇒ 活動性低下による機能障害・抑うつなど ⇒ さらなる痛み ⇒ 破局化思考・・・・つづく

 

痛みを感じたときに不安が募っていくと痛みは慢性化し、

場合によっては抑うつ状態になって活動範囲がどんどん狭くなり、

筋力も落ちて、元々悪かった場所に負担が余計にかかり痛みが増して余計に不安になり

・・・という無限ループにはまってしまう可能性があります。

 

ここまで読んでお分かりかと思いますが

痛みを悪循環に陥らせないためにまず大事なのは

痛みの原因を適切に理解して自分自身を不安に陥れないということです。

 

そこで

 

痛みを長引かせないためにすることその①

今までに経験したことのない痛みが生じた場合には近くの医療機関を受診する

 

↑ 「結局病院に来させるためのブログなんでしょ?」なんて言われると辛いですが・・・。

 

今頃ではインターネットで検索したら

『○○の痛みには○○が効く』

みたいに中には役に立つ情報もたくさんありますが、

難点は今自分が見ている情報が自分にとって適切な情報とは限らないところです。

もっというと、

自分に合わない情報を受け入れてしまうと自分自身を不安に陥れる

= 痛みを長引かせることにもつながってしまうかもしれないんです。

だからこそ最初はなるべく病院に行くのが良いと思います。

 

他にも痛みに対して治療を行ってくれるところがあるのになぜ病院かというと

整形外科に行けばレントゲンなどの画像診断で問題があれば対処できますし、

整形外科的な痛みではないと判断できれば他科を紹介することもできます。

治療法にしても薬だけ見ても1つが効かなければ別のものというように変更していけますし、

物理療法もあればリハビリテーションもあります

(整形外科の中には理学療法士が在籍してない場合もありますが)。

 

このように客観的な手段で診断を行い

多角的な治療を行えるというのは病院しかありません。

ぜひ第一選択肢として病院を選んでもらいたいと思います。

 

痛みを長引かせないためにすることその②

医師が処方した治療法を継続する

 

「継続」ということがポイントです。

整形外科を受診して医師からこういう理由で痛みが生じているだろうと説明され

内服、注射、装具、物理療法、リハビリテーションなど何かしら処方されると思います。

 

最初は皆さん言われたとおりにすると思いますが

効果が出ないと短ければ数日でやめてしまう患者さんがいます。

 

皆さん当然即効性のあるものを求めますがすぐに治まるものばかりではなく

ある程度経過を見ないと分からないものもたくさんあります。

 

次の来院日を言われたら最低限その日まで、

言われなかったらどの程度継続したら良いのかを医師に確認して欲しいと思います。

 

数日効果が出ないからと言ってやめてしまってすぐに別の病院に行ったり

インターネットで自分で情報を集めてまったく違う治療法を試したりするのは

前に書いたように自分で自分を不安に陥れることにつながることもありますので

注意して欲しいと思います

(もちろん治療の中で痛みが強くなるようなら再度医師に相談してください!)

 

痛みを長引かせないためにすることその③

リハビリテーション

 

ここでやっと出てきましたリハビリテーション!

痛みはリハビリテーションで良くなるの?という疑問があると思います。

あくまでも痛みの治療法の1つという枠組みですが効果があるんです。

 

日本の痛みに関連する7学会と厚生労働省が共同で作成した

「慢性疼痛治療ガイドライン」

というものがあります。

これは過去数年の研究を集約して

慢性疼痛にどのような治療がどの程度効果があるのかということをまとめたものです。

 

この中にはリハビリテーションも項目として含まれていて

『(一般的な)運動療法(ストレッチング、筋力増強運動、有酸素運動など)は単独で、

安静や生活指導等と比較すると慢性疼痛と機能障害に対して有効である。』

との記載があります。

 

またそれぞれの治療法がどれだけ科学的に根拠があるのかということの段階付けを

「エビデンス」と言い、

それぞれ“A”(根拠が強い)から“D”(根拠が非常に弱い)に分けられ

さらにどの程度その治療法を推奨するかということを

“1”(することを強く推奨する)と“2”(することを弱く推奨する)

に分けています。

 

痛みに対してリハビリテーションを行うことをこのガイドラインではどの程度推奨しているかというと

・ 慢性腰痛:エビデンスレベル 1A (運動療法を施行することを強く推奨する)

・ 変形性膝関節症: 1A (運動療法を施行することを強く推奨する)

・ 慢性頚部痛: 1B (運動療法を施行することを強く推奨する)

とされています。

 

つまり慢性疼痛に対して運動療法が効果を発揮するということは

科学的にかなり確からしいということです。

 

ちなみに他の運動はどうなのかということですが、

先ほどのガイドラインの中の記載では

・モーターコントロールエクササイズ: 1B (施行することを強く推奨する)

・ヨガ: 2B (施行することを弱く推奨する)

・太極拳:2B (施行することを弱く推奨する)

・気功: 2C (施行することを弱く推奨する)

・ピラティス:2C (施行することを弱く推奨する)

・ラジオ体操(テレビ体操):2D (施行することを弱く推奨する)

 

となっています。

それぞれがどのような運動なのか詳しくは検索してもらえたらと思いますが

これらの効果としては、

ある面では一般的な運動療法より効果がありそうだけど

別の面ではあまり変わらないといったように

一定の結論には至っていないものも多いようです。

 

個人的にはピラティスをやっているので

「ピラティスめっちゃ効果ある」

って言ってもらえたらうれしかったんですが。

 

ここで個人的にポイントとなっていると思うのは「モーターコントロールエクササイズ」です。

 

エビデンスレベルと推奨度を見ても1B(施行することを強く推奨する)と非常に高いですが、

これはどのようなものかというと、

体幹の筋群のコントロールがうまくできないことで脊柱に負荷がかかりすぎてしまい、

これが様々な問題につながっていくため、

それらの筋群をうまく使えるようにすることで

脊柱への負荷を減らすための各種エクササイズです。

 

大まかな中身としては腹横筋や多裂筋などの

脊柱を安定させるために大事な筋肉を意識的に収縮させることから、

それらを働かせながら手足を動かしたり、大きく動いてみたりというような感じです

(詳しく知りたい方は検索してみてください)

 

臨床上腰痛や下肢の症状がある人に関してはこれらの脊柱を安定させる筋力が足りなかったり、

脊柱の動かし方が上手じゃなかったりする人が多いのは確かだと思います。

なので、脊柱に負荷がかかりすぎないようなエクササイズは大事ですし、

痛みの悪循環の中の「不活発な生活」を防ぐという意味でも、

痛みを改善させる方法としては有効であると思います。

基本的に副作用もないですし(筋肉痛はあるかもしれませんが)。

 

私がピラティスを始めたのもこれが一つの理由で、

自分自身に対しても患者さんに対しても有効だろうなと思えたのではじめました。

ピラティスの効果はエビデンス的にはモーターコントロールエクササイズよりも低い2Cですが、

基本的に考え方は大きくは変わりません。

脊柱を安定させる筋肉をしっかりと働かせながら

徐々に身体全体を動かしていくというものです。

 

もちろん痛みがあったり高齢であったりすると

ピラティスのエクササイズそのままをできないことの方が多いですが、

大事な要素をピックアップして実施していますし、

実際に正しく行えれば効果があることも実感しています。

 

以上長くなってしまいましたが

痛みに対する治療法にしてもリハビリテーションにしても自己流ではなく

専門的な知識を持った人にまずは見てもらうことが大事ということでした。

 

頭の隅においていただけると幸いです。

 

最後まで読んでいただいてありがとうございました!